思想

特許のない世界

一般に、個人またはチームの技能を争う勝負の世界には、特許(既得権益)はありません。優れた戦術、戦略は、公開した瞬間、全選手、全チームの土台となり、次の試合では、それを前提とした戦いが繰り広げられます。 ビジネスの世界では、勝敗の代わりにマネー…

ワープロのようなスプレッドシートのような

iPhoneで遊び始めてから、世の中にはこんなにプログラミングする人が大勢いるんだからもう私はプログラミングはしなくてもいいやという気持ちになりました。 ところが、「思考の増幅器」のようなソフトにまだ出会ってない感じがあります。あれができるこれが…

死ぬということ

No one has ever escaped it. And that is as it should be, because death is very likely the single best invention of life. Steve Jobs 火葬を始めた人間以外はすべて、死に際して微生物を含む他の生物の胃袋に収まります。それが、それまで生きて来た…

言語情報の記憶過程とリアリティ

最近、言語情報からリアリティを全く感じなくなりました。元々情報はリアリティを持ちませんから以前の感覚が異常だったと言えばそれまでですが、間違いなく20代までの頃は活字情報をリアルに感じていた。 経験が少なくて、得た情報を過去の経験から分析整…

錬金術

分子と原子核の構成する相互作用が違うことがわかって、錬金術の化学的試みの長年の努力が原理的に無に帰したのは、わずか100年前。 ラザフォードさんがとどめを刺したと理解しています。 アインシュタインさんが質量とエネルギーが等価であることを示して、…

証明

ポアンカレ予想 (1904年)からペレルマン証明(2003年)まで99年。番組にも取り上げられるほどでしたが、ケプラー予想「最密球充填は、面心立方最密もしく六方最密かその組み合わせである。」(1611年)からヘイルズ証明(1998年)まで387年かかったのに、あまり話…

「ベクトル代数」の続き

それにしても不思議です。大学の時に、数学の抽象度に憧れながらバカの壁に阻まれ、もっとリアルなものをと物理を志向しながらも理論物理が特定の前提を信じたちょっと野暮ったい数学だと気がつき、コンピュータに興味が移りました。その後も科学オタクであ…

科学の神話化

先日、NHKでポアンカレ予想の証明に至るドキュメンタリ「100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜」の再放送があり、職場であれこれ質問されました。知らないのに知らないと言いたくない私は、ああだこうだと適当なことを言い合います。(食後の…

記述するということ

Haskellでプログラミングしていると、手続き型と関数型の違いが、古典力学と量子力学の違いと似たところがあると感じました。 手続き型(時系列、微分方程式)での記述に制約を加えられると、記述が正しいかどうかの判断に、人は対称性を使うのですね。関数…

言語とモデル

実家で四歳の姪っ子を見て、可換体論を眺めていると、 脳には予め世界のモデルがあり、モデルと実世界の整合性を成立させるべく、言語を習得する。 言語を入力として、新たなモデルを構築する瞬間が理解というものである。 理解すると、モデルの、言語による…

人類

ふと真理に近づいた気がします。 人類を他の生物と区別する能力は色々ありますが、最も際立った能力は「怨む」能力という認識に至りました。他の生き物がこれだけ人間に殺されても怨むことはないのに、人間は怨む。他の生き物は生きるために殺すのに、人間は…

数学って その2

http://d.hatena.ne.jp/yich/20080413/1208085447 リーマンのゼータ関数 (開かれた数学)作者: 松本耕二出版社/メーカー: 朝倉書店発売日: 2005/11/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 60回この商品を含むブログ (4件) を見るわかりもしない本を買ってし…

生きるものは脈動する、の続き

問題設定:体の脈動は精神に如何に影響するか。 息を吐くときに副交感神経が優位になって、精神的に安定(抑制)するとはよく言いますが、思考まで考えた場合、脳みそにはどの程度のローパスフィルタが入っているのでしょうね。カットオフ周波数は呼吸周波数…

脈動

生きるものは脈動する。 ジョージ・ソロスさんか誰かが今の金融資本主義のルールには欠陥があると言っていて、その通りだと思っていたのですが、安定性が善かと言われたら、そうでもない気がしてきました。ドットコムバブルで、大勢の投資家が一切売り上げ、…

理解される感覚

言語なんてものはおおよそ、互いの理解に役に立たないものだとは思っていますが、考え、感じ続けた結果を自らが忘れないために言語化した命題を理解してもらえそうな人に出会ったとき、まるで突然目の前に美しい景色が広がったかのような喜びを強く感じます…

信じること、考えること、感じること

思うところあって、「世界の名著〈51〉キルケゴール (1979年) (中公バックス)」を久しぶりに開きました。「不安の概念」と「死にいたる病」のタイトルだけに惹かれて何度となくパラパラと眺めた記憶があります。1990年の版だからやはり大学院生のときですか…

憲法第九条

第二章 戦争の放棄 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦…

情報技術の産業化の是非

今日の日経産業新聞にITは産業化に失敗したという内容のコラムがありました。 対照的な例として自動車産業が挙げられていましたが、自動車産業は自動車メーカだけでなく、各部品からメンテサービスまで広く市場を形成して多くの人の生活を成立させることに成…

たとえ話

若い頃は「たとえ話は、誤解が多く、コミュニケーションの手段として有効でない。話自体が事実ですらない。伝えたいことは可能な限り抽象的に正確に(数学的に)表現すべきだ」と思っていた気がしますが、宗教的に目覚めてからはたとえ話がとても重要になり…

次のイデオロギー

景気が悪くなると人は暗くなります。ニューエコノミーともてはやされた90年代後半にアメリカで生活し、「失われた10年」の日本に戻って来たとき、空港から会社の寮に向かう途中で既に重苦しい空気を感じました。 一旦高度成長を味わうと、民族は生まれ持…

死刑制度

死刑制度と日本国憲法第9条の関係を思いついたので書こうと思い、予備知識をインターネットで調べ始めたところ、書けなくなりました。 どんな立場でも、自分や他人の命をかけるということは大変なことです。 死刑制度である場合、死刑を執行する職権がある…

グローバル

グローバルとかボーダーレスとか、昔は人件費が流通コストを越えたとき起こりましたが、今は、量産効果が人件費と流通コスト両方を飲み込んでいきつつあります。 このままだと世界の工場はアジアのままで、中東やアフリカには移らないでしょう。 問題です。 …

抽象と具象

ふと、世界には、無条件に尊く甘美なものと、点数が付けられるものがあるかと思いました。 例えば、囲碁には実力としてはっきり段位がつくものですが、同じ段位でも、華のある打ち手もいれば、そうでない打ち手もいる。段位は点数で、華はそうでないもの。 …

私訳歎異鈔

慈悲には鍛錬による救済と約束による救済の境があります。鍛錬の慈悲というものは、生きとし生けるものを哀れみ、悲しみ、育むものです。けれども、どんなに鍛錬をつんでも思い通りに救済を遂げることはほとんどできそうにないことです。約束の慈悲というも…

マインドマップ

若い人から仕事の相談を受けたりする時、話すことをホワイトボードに書いて、文章で書くのが大変ならキーワードだけでもいいから、関連事項を書き出してもらいます。その後、それぞれの項目の関係や抽象度のレベルをヒアリングしながら整理していくと、たい…

結び目

4次元以上の空間では、1次元のひもの結び目はすべてほどけてしまうらしいです。証明は見たことがない。 摩擦や分子結合の角度やら、屁理屈を並べれば4次元以上でもほどけないトボロジーは存在するはずなので、これがヒトが認知できる空間の次元だという主張…

理解と愛

「愛の周辺」の「理解と愛」の中で、大げさに言うことはない(けれども貴重な)経験と小難しい問題設定で言葉をいじりましたが、先日、実家に帰って色んな話をしてみて、二日経ったら簡単に答えが出ました。 理解はなくとも愛は存在する。 こんな素敵な結論…

能力の変化

学力低下が叫ばれて久しいですが、職場でも色々感じることがあって、複雑な気持ちです。 まず、一般論として、「近頃の若い者はペケペケ」という文章が古代エジプトの洞窟の壁画にあったというまことしやかなおもしろネタに代表されるように、人類はその誕生…

愛の周辺

今年の初めに、知人の協力もあって、mixiで少し対話っぽいことを試みました。それなりに考えていたことが活字にできていたので、はてなに記事を転用します。 世界と主観(2007年1月1日) さて、知人から「突き詰めると愛じゃないか」という意味合いの…

欲望

人間の欲について考える時、よく「おしっこしたい」という言葉を頭に浮かべます。生理的信号がある前に、「おしっこをしたい」という意志を持つ人間は一人もいません。生理的信号が伝わると、ひとはおしっこをする必要性/義務が発生します。この時点でも本来…