次のイデオロギー

景気が悪くなると人は暗くなります。ニューエコノミーともてはやされた90年代後半にアメリカで生活し、「失われた10年」の日本に戻って来たとき、空港から会社の寮に向かう途中で既に重苦しい空気を感じました。
一旦高度成長を味わうと、民族は生まれ持つ性格を変えるほどに経済依存症になります。依存症と気づかずに経済成長のための国策が練られる。そのためには巨額の国債発行すら厭わない。
経済縮小こそ是とする内容を含むイデオロギーの出現が望まれますが、そんなキーワードがないか探していたら、都留重人という経済学者の「蚊の居る国、居ない国」が見つかりました。似たような産業国があると、蚊の居る国は蚊対策のグッズの分だけGDPを増やす、果たしてGDPが大きいことが豊かさと言えるのかという話です。今ニュースをにぎわしている食の安全性の問題も、これをビジネス機会とした企業が現れるはずですから、蚊のようなものでしょうね。
さてでは国家は何を成長させるべきか。国民の一人当たり脳内のセロトニン量かもしれません(冗談)。