「脳は空より広いか」
- 作者: ジェラルド M.エーデルマン,冬樹純子,豊嶋良一,小山毅,高畑圭輔
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
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神経ダーウィニィズムも進化論自体に納得がいっていない私には「かもね」という感じです。自然選択の中で空を飛ぶ鳥が生まれたように、神経細胞ネットワークが選択されて言語や意識を生むと著者が考えているならば、ダーウィンさんにもエーデルマンさんにも「夢のある仮説ですが、本当に説明できるのですか?」と聞きたくなる。説明を試みるための出発点としては決して否定しないのですが。
クオリアに関するアプローチも琴線に触れるものはありませんでした。
最近の脳科学の新鮮な知見として、「われわれが意図的に行動を起こすさい、動作の開始を意識するその0.5秒前にはすでに、その動作に関わる神経系の反応が起きている」ことが紹介されていました。(「男女の怪」でも養老孟司さんが触れられてました。)ラマチャンドランさんの「脳の中の幽霊」に書いてあることを信じるので、このぐらいのこともそういうこともあるかもねぐらいには信じられるのですが、、だから意識は脳の機能だと言われても、いや、そうかもしれないけど、私の知りたいことはそういうことじゃないという思いにかられます。例えると、Macの素晴らしさがどこにあるのか知りたいのに、「ウィンドウが開く前にはシステムコールが呼ばれている!」と力説されるようなものです。
DNAの2重螺旋構造を解明した一人であるクリックさんが「脳にはDNAがない」(脳には基本原理足りうる明快な前提がないという意味だと思います)と発言されていたようですが、研究に当たっての苦悩のほどがよくわかります。
しかし、意識する瞬間をどう定義して測定したんでしょうね。