二重スリット実験と位置的実在

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量子力学が、何人たりとも理解できないものであることを示す二重スリットの実験について、きっと学生の頃には至っていたであろう知見に再度至りました。
二重スリット実験は光子や電子のような素粒子だけでなく、フラーレンのような大きな分子でも確認されています。
で、当然同じ結果が得られるだろう水素原子を考える。水素原子を陽子と電子の多体系と考えると、二重スリットの問題は、6変数のシュレディンガー方程式で記述されます。この方程式系は3次元のクーロン場の方程式系とスリットを通過する自由粒子の方程式系に変数分離できる。
スリット実験における陽子、電子の存在確率は、干渉模様を持ちますが、一方で陽子との相対位置としての「電子」は、「陽子」があたかも質点であるかのように近似可能な系での「陽子」を取り巻く電子雲を形成する。
つまり、陽子は干渉を起こす波動性を持つと同時に、位置と運動量がほぼ確定した古典的質点としての性質も持つわけです。
二重スリット実験の検出器にとっては、水素原子の陽子は干渉を占める量子力学的存在ですが、電子にとっては古典的質点で居続ける。観測理論は意外と方程式の変数分離の問題に帰着するかもしれません。