悲観

どうにも世の中は苦しみで満ち溢れているようです。これだけ豊かになって、老いは遠く、感染病からも解放され、死の現実感が欠けていても、生きること自体に苦しみが陰のようにつきまとう。
人生の中で、少しずつ積み重ねたたくさんの楽しい思い出も、全部思い出せなくなるような破壊がある日もたらされる。
それは飢えやら戦争やらと比べたら些細なことかもしれませんが、心の中で何かが崩れるかどうかは事の大きさとは全く関係がない。
子供たちが死んでいくのも無理はない世の中なのかもしれない。

今生にいかに、いとをし不便とおもふとも、存知のごとくたすけがたければ、この慈悲始終なし。

イデオロギーが死に、宗教がテロと化し、科学が知恵を奪い、工学が人を鈍感にして、経済が人を餓鬼と化す世の中で、一体何が、やさしい人たちを救うのでしょうか。