「・・・」というヘボな下手の碁の演劇

(タイトルは若干煽りです^^)


点の階という演劇ユニットの公演「・・・」を観劇しました。


劇の舞台は火葬場の控室です。


「点転」という囲碁などの元になったとされる架空の競技を巡って、4人の登場人物が碁界にありがちなチグハグなやり取りを続けます。棋譜は作品なのか事実の記述なのか、碁の起源は、その宗教性、守破離的関係、著作権…いずれも揉めそうなテーマです。


点転の「師匠」と呼ばれる女性の火葬の日に、点転の傍観者、生みの親、熱狂者、意図せず点転に初めて触れた人がそれぞれの想い、疑問、意味を互いに問いかけます。それぞれが意味のわからなさに不条理を感じて。


劇を観て最初は、囲碁関係者の悩みのパロディかと思いました。みんな色々想いの違いを感じてますから。
でも、意味を問い続ける姿に次第に登場人物それぞれが対局しているんじゃないかと観始めます。
生きることも盤上の悩みも似ているよなぁと。


ところがですねぇ。


感想ツイートもして、たまの都会出だからと呑み食いもして、電車に揺られるうち、ふと印象的なラストを思い出しました。
この劇では窓から見えると想定される白煙と、決して強調はされてない喪服がキーだったんじゃないかと感じました。


点転ではどうか全く知りませんが、囲碁では白は上手、黒は下手を意味します。
となると、登場人物は、それぞれの想いをぶつけて対局していたのではなくて、盤上で噛み合わない碁形を互いに非難する黒石を観ていたのではないかと。
互いに存在を問い合うような黒石。それはきっと、達人の碁ではなくヘボな素人の碁に違いありません!


AlphaGo以来、プロ棋士さえ達人と言えるのかどうか問われる世の中になってきましたが、人も盤上の黒石も意味を求めて自らの存在の意味を問いながら日々凌いでいく。


「・・・」とは私にとってそういう物語でした。

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