AlphaGoはハサまない
「囲碁の未来サミット」終了直後に、DeepMind社からAlphaGo vs AlphaGoの50局が公開されました。
一説によると1手2分の「長い」碁のようです。対柯洁戦では一手1分の感じでしたから、AlphaGoが倍の時間をかけて打った対局と言えます。
最初、50局の中で頻繁に星に三々入りすることが人間には異様に映ります。
引き続き、棋譜を見ているうちに、不思議な感じがしてきました。
AlphaGoはカカリにハサまないんじゃないだろうか?
というわけで、全局通して「隅に先着して相手がカカってハサむ」ことが何回あったか調べてみました。
(中国流に内側からカカるとか、カカリのあと、カカリ側が先着してハサむというパターンは除外しています)
結果は7回です。200回(50局×4隅)のうちたった7回。
AlphaGo先生から声が聞こえてきそうです。
「ハサミは場合の手」
7回の中で同じ形が出てくるので、AlphaGo vs AlphaGo 50局の中で現れたハサミの定石は以下の4つになります。
きつくハサまないのが特徴に見えます。
AlphaGoは小目の場合、一間高ガカリにはツケヒキ、小ゲイマガカリにはケイマに受けることが多く、「秀策のコスミ」ならぬ「AlphaGoのケイマ」と言えるかもしれません。
プロ棋士のこれまでの解説は、
- 大ゴミは黒の負担。地を取り合うだけでは勝てない
- ハサめば局面は複雑化する
- 戦えば、先着の利が働く可能性が高い
ということでした。大ゴミの現代にあっては「秀策のコスミ」は緩く、勝てないと。
ところが、AlphaGoは「ハサミは場合の手」としてこの戦略をほとんど取りません。
みなさん、AlphaGo先生を見習って新格言「ハサミは場合の手」を意識して囲碁ライフを楽しんでみませんか?
(と素直に言えないので、AlphaGoの構造に不具合があるのではないかとあれこれ考えています)