観る碁のための囲碁入門8

実戦の続きを見ましょう。

第5譜


白は下辺に入っていくことは一旦諦めて、白18黒19と換わりました。


もし白18黒19を打たずに、白20と打ったらどうなるか想像してみましょう。



黒は2と右辺の白に迫りそうです。次に黒にAと打たれると白の2つの石が分断されそうですね。黒は2で、

  1. 右辺の白の2つの石への攻めを狙っている
  2. 下辺の陣地っぽいところを更に広げて白から入りにくくしようとしている

という二つの狙いを持っています。

ところで、陣地っぽいところというのを囲碁用語で模様と言います。

狙いが2つ以上あると、普通は相手は両方を避けることができないので、どちらかで効果を得ることができそうです。(五目並べの三三と一緒ですね。)


先ほど「右辺の白の2つの石への攻め」と説明しましたが、囲碁での攻めとはなんでしょう?
以前に取り上げられない石になるには仲間が必要なことを説明しました。もう少し詳しくいうとある場所に石を置いたら、その石を取られないようにするには、仲間を置ける空いた場所が周りに必要ということになります。相手の石に近づくということは相手の仲間の置ける場所を奪うということになります。これが攻めです。
では攻めの効果とはなんでしょうか?囲碁の目的は石をたくさん盤上に置くことですが、このことと攻めはどういう関係があるのでしょうか?



Aと打たれるのが不安で白3と守ったとしましょう。すると、黒は2を先手で打てたことになります。先手を続けることができると自分の思った通りに石を置いていけますね。これが攻めの効果です。

ですが、注意も必要です。以前に、石をツケた時は、相手の石を取ろうとしているけど実は自分も取られやすくなっていると説明しました。攻めも同じ意味合いがあります。相手の石に近づいて相手の仲間の置ける場所を奪うということは自分の仲間の置ける場所がすでにそこにはないということなので、近づいた石は実は攻められやすくなっているのです。そう思って見ると、黒もBがちょっと不安に見えるかもしれません。


実戦は、上のような展開を白が嫌って、白18と打ったのかもしれません。



実戦その後白20と左辺を広げて、黒が21と入っていきました。右上と似たような形です。右上では黒はBと受けましたが、今度は白22とハサミました。これは、白は左上より左辺を大切にしますという主張です。白20と白22の関係に注目してください。


昨日の第4譜では黒が下辺を広げる構想を見せました。そして今日は白が右辺を先手で切り上げて左辺を広げる構想を展開。さあこの後どうなるか。