Joule Thief
明けましておめでとうございます。
年初に以下の動画を教えていただきました。
動画は2007年のもので、Joule ThiefはWikipediaにも載っていたので当初話題だったようです。
懐かしくなったので、Linear Technology社のフリーソフトLTspiceでシミュレーションをしてみました。
回路図はこれ。
ビデオの型番のトランジスタはモデルになかったので、型番が似たようなものえいやでいれました。
コイルは考えだすと切りがないので、理想モデルを使用。ベース駆動用の補助巻き線の極が逆向きであることに注意。
シミュレーション波形はこれ。
ちゃんと自励発振しました。
緑がベース電圧、青がコレクタ電圧、緑がコレクタ電流です。
トランジスタの飽和電流が流れている状態が不安定なので、発振が始まります。
不安定な状態とは、コレクタ電流が減るとベース電圧が減るのでトランジスタがオフしてさらにコレクタ電流が減るという状態。
トランジスタがオフすると、コイルに流れていた電流がトランジスタとダイオードの寄生容量に充電されてLEDのアノードの電圧が上がっていきます。(昇圧動作)
電圧がLEDの順方向電圧辺りになるとLEDに電流が流れ始めて光ります。
この間、ずっとコイル電流は減っていって、0になると今度はLEDにマイナスの電流を流そうとします。LEDはダイオードなので逆には電流を流さずオフします。
すると、コイルと寄生容量で共振動作しコイルが寄生容量の電荷を引き抜いてコレクタ電圧が下がる。
コレクタ電圧が下がると、補助巻き線のベース電圧駆動端子の電圧が上がるので、トランジスタがオンする。
後はこれの繰り返しです。
Wikipediaにはコイルが飽和するとトランジスタがオフするという説明がありますがおそらく誤解で、線形コイルでも発振します。
おまけ。
緑がコレクタ電圧、青がコイル電流、赤がコレクタ電流、水色がLED電流。
答えを見せてもらうとなぜ動くかはだいたいわかりますが、最小の部品を使って乾電池(1.5V以下)でLED(3V以上)を駆動する回路を作れと言われてもできるかどうか。
理解する何倍も時間を必要としますね。その作業が価値を生むかどうかの違い。
余談になりますが、アナログ回路や初等幾何だと上記のような傾向をひしひしと感じるのですが、デジタル回路やプログラミングだとその感覚がわからなくなる。
理解と創造が比較的近い気がします。そんな気がするのはプログラミングまだをわかっていないからでしょうね。
以上、最近取った杵柄からの話題でした。