平均場近似

感動した技術を紹介するコーナーをすっかり失念していました。
一昨日、スイッチング電源のオンオフデューティと出力電圧の伝達関数の近似の方法(状態空間平均化モデル)を後輩から教えてもらい、平均場近似を思い出しました。
まず状態空間平均化モデルから。
スイッチング電源は、線形素子をスイッチでつなぐ回路で構成されていて、スイッチの状態に応じた線形回路で時間的に運動します。制御によって異なる線形回路に遷移することによって非線形性が生まれる。簡単のためスイッチ(トランジスタ/FET)が1つの場合を考えると、2種類の線形回路が時間的につなぎ合わせられることになります。スイッチのタイミングが周期的な限りシステムは線形性を維持しますが、タイミングとシステムの振る舞いの関係は一般に非線形です。(最も単純な例では、ブーストコンバータでは出力電圧とスイッチングのデューティ比が V∝1/(1-D)であることを思い出しましょう。)
この非線形性は過渡応答での厳密解を解析的に与えることを拒否します。
そこで、スイッチングの時間オーダーと比較して状態の変化が小さく線形近似可能と仮定します。(元来、線形システムの結合なので、ここのシステムは正弦波的か指数関数的です。それを線形近似できるぐらい短期間のうちにスイッチングするという仮定。)
この仮定において、システムは、それぞれの線形システムを時間平均(デューティで重みをかけた平均)した線形システムに等しいことが証明できます。スイッチングという非線形の要素を持っていても、近似的な線形システムが構築できて、デューティとシステムの非線形性を解析的に求めることができる。素晴らしい。
さて、平均場近似です。
うーん、思い出せない。
格子状に並んだ多体系を相互作用を厳密に解こうとすると、解析的には解けない問題になりますが、相互作用が周囲からの(距離に応じた)平均的相互作用になるという仮定をおくと、無矛盾(自己無撞着)な場を求めることができるというような話だったと思います。
ああ、こう書いていて、なにがすごいのか今となってはわからない。わかったと思ったことがわからなくなって、つくづく馬鹿になったなーとも思いますが、誰かに馬鹿だと言われたら、 お前は20年前のこと正確に思い出せるのかと、言い返したい気持ちもあります。
ただ1つ今でも言えること。平均場近似はイジングモデルなど物理の解析に用いられていますが、これは科学ではなくて、(科学する際の)技術だということです。