生命力

右手がほとんど捥げて、右手、右腕は炎症で晴れ上がって麻痺し、目からはヤニが大量に溢れて眠る度に瞼がくっついて開かなくなるという状態なのに、抗生物質の入ったミルクを「まずい」と拒否して、舌平目のテリーヌをがつがつと食べ始めるがすぐ満足します。用を足していなさそうなので、それが心配。内臓がやられているのかもしれない。
毛繕いもできないので、ウェットティッシュで撫でてやると、こっちもこっちもと少しずつ体位を変えます。右腕が不自由で左腕で支えるしかないので、口の回りも自分で手入れができません。
ところが、あごを拭いてやればゴロゴロと啼き、機嫌よさそう。床に放っておくと時より心配げに啼き歩こうとしますが、膝に抱いたり、タオルで巻いてやると安心している。
目ヤニを拭いて目が開いても見えていなさそうで、ここで生き延びても、私が長期に家を離れる時には過酷な死が待っています。にもかかわらず、観念することなく、不自由な足で歩こうとし、こけても力強く顔を上げ、エサを求めるためでもないのに「私は生きている」とばかりに声を上げる。
自分が目が見えなくなって腕がもげたらこうはできない。予測する能力ゆえか人間はメンタルでは非常に弱い生き物かもしれません。