生物進化を考える

生物進化を考える (岩波新書)

生物進化を考える (岩波新書)

ヒトゲノムの解読がされてDNAのサイズに比べて遺伝子が予想より少なかったという結論の現代では、木村資生さんの中立説は当たり前のことなのかもしれません。どんな人なのか気になっていて、本を読んでみました。
今西錦司さんを一刀両断にしているあたり、西洋科学の使徒というか原理主義的な雰囲気があって、明快で学問を感じました。
でも、読んでも進化論に対する私の曇りは一向に晴れません。
進化論には何か公に語るに難しいタブーがあるような気がする。突然変異の維持に関係する近親相姦だとか、ミッシングリンクを生み出す近縁種間虐殺だとか。人間が集団で殺し合うのは、人類の中で次の種の分化と棲み分けを求めているのかもしれない。
それにしても、高校の時によほど勉強不足だったのか、過去に5回も生物種の大量絶滅が起きていたとは知りませんでした。知っていたのは恐竜の絶滅ぐらい。これを考えると、地球温暖化なり核戦争なりで人類が滅びるのは、巻き添えになる生物はかわいそうですが、長い目で見ると、どうってことないですね。