ファウスト

ゲーテさんの代表作「ファウスト」が気になり出したのが、果たしていつ頃から思い出せません。1997年発行の相良守峯さん訳岩波文庫、1999年発行の手塚治虫さん作朝日文庫。相良さんの訳は読めませんでした。そう思えば大体の時期がわかります。
知識を捨てて官能と美を求めたファウストを取り巻く悲劇。インテリ好みのプロットへの興味から次第にマルガレーテの悲劇に意識がフォーカスされていきました。
第一部と第二部の間に一体どれだけの時間をゲーテさんは持たせたのか。ほぼ台詞だけで構成されている戯曲では、沈黙の時間の概念がなく、読めば読むほど混乱します。果たして悲劇はファウストにとっても悲劇だったのか、それとも人生は悲劇を反芻する時間などないものなのか。
脚色でいくらでも新しい解釈を入れられるところに、研究されるだけの名作の価値があるのかもしれませんが、ゲーテさんの「ファウスト」は原案であって、作品ではないのかもしれません。
庵野秀明さん辺りの「ファウスト」を見てみたいものです。