うつくし
- 作者: 宇野金楓,塙隆満
- 出版社/メーカー: フロム出版
- 発売日: 2007/06/27
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
英語と日本語の言葉について考える時、私にはbeautifulという単語が避けられません。以前にも書いたことがありますが、赤ちゃんをbeautifulと愛しむ言葉の感覚がわからなかった。わからないというのは意味不明という意味ではなくて、うらやましさを含んでいます。深い感情を表現した文学や芸術を理解できないときの劣等感に似ています。大枠において、日本語は英語よりも感情面での表現力が高いと信じていて、だからこそ日本人として少しくやしい気がしていました。
ところが、清少納言は「うつくしきもの」の節でちごをうつくしと表現しているではないですか。中学か高校で習ったはずで、読めばすぐにでも暗唱できるぐらいなのに、なぞり書きするまで思い出せなかった。
広辞苑を見ると、
肉親への愛から小さいものへの愛に、そして小さいものの美への愛に、と意味が移り変り、さらに室町時代には、美そのものを表すようになった
とあります。
「美しい国」という時の「美しい」にも当然愛が含まれていることは理解できるのですが、赤ちゃんを美しいと呼べない自分の言語感覚は何かおかしいのでしょうか。