攻撃性

前回からまた泥酔状態で段位を落としました。ちょうど1ヶ月ぶりにようやく4段に復帰。ぱちぱち。
インターネットで検索していたら、心理学の教授をされている林道義さんのサイトをたまたま見ました。囲碁と心理学の関係のについての本を何冊が出されています。10年以上前の記事だったので現在はわかりませんが、当時、女子大の哲学の授業で囲碁を教えておられたそうです。その時に驚かれたのが、女性と言えども囲碁というゲームを通じて攻撃性が顕現したことだそうです。
囲碁には、「石の効率/形の美しさ」「読んでも読み切れない意外性」「無理をすると跳ね返ってくることで痛感する調和性」「同じ未来予測(読み)に至って互いの戦術と通して琴線に触れた時の共感性」など攻撃性とは一見離れた特徴がありますが、実はこれらはすべて相手より優位に立つための戦略として存在します。
自分でも、自分の打ち碁から手段を研究したり、本で学んだりする自分と、実際に打っているときの自分の違いに驚きます。研究の時にはとても純粋な気持ちになれるのに、研究によって習得した能力を行使する時には恐ろしい攻撃性が出る。
自分が囲碁で勝ちたいのは、自分より能力の高い人と打ちたいからです。ただ勝ちたいとはちょっと違う。ところが、負け続けると頭の中に何か不純なものが溜まっていく。正常な精神状態なら、かなり味が悪い時には読みを入れて、最悪を回避する戦略を取りますが、不純なものが溜まっていると、こういう場面での対応に誠意が尽くせなくなります。相手の間違いを期待するようになる(依存性)。そして負けるとますます脳がどんよりしてくる。こんな時には攻撃性が自分に向かいます。
攻撃性と依存性。囲碁から気づいた特性ですが、意外と現代社会を理解するキーワードかもしれません。