いちばん大事なこと

いちばん大事なこと ―養老教授の環境論 (集英社新書)

いちばん大事なこと ―養老教授の環境論 (集英社新書)

養老孟司さんの「いちばん大事なこと」を読みました。「バカの壁」を読んだ時、同じことの繰り返しが目立って養老さんもお年寄りになられたかなと思ったのですが、こちらの本は私が普段思っていたこと以上のことが書かれていて、「参りました」という感じでした。

  1. 「人工」とは意識がつくり出したもので、「自然」とは意識がつくらなかった世界である。自分の体は、意識がつくり出したものではなく、勝手にできたものだから自然に属する。

「起こったこと」を好む人間の性癖とあいまって、おかげで「なにかしよう」という癖がついてしまう。それを「積極性が高い」などと誉めるから、ますます悪い。性行動に積極性が高い人を、スケベという。環境問題や経済活動についても、そういう表現があればいいのである。

  1. わからないことをブランクのままにし、何割ぐらいかがわかれば、まあこんなところだろうと思って、とりあえずつきあう。そういう辛抱が必要になるのである。
  2. システムは複雑なものだが、それを破壊するのはきわめて簡単なのである。他方、システムをつくり上げるのは、現在までの人間の能力では、ほとんど不可能である。それがいいたい。だからこそ、安易に自然のシステムを破壊してはいけないのである。