空海曼荼羅
- 作者: 夢枕獏
- 出版社/メーカー: 日本出版社
- 発売日: 2004/03
- メディア: 単行本
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密蔵の奥旨は文を得るを貴しとせず。唯だ心を以て心に伝うるに在り。文はこれ糟粕のみ、文はこれ瓦礫のみ。糟粕・瓦礫を受くれば、すなわち粋実至実を失う。実を棄てて偽を拾うは愚人の法なり。愚人の法には、汝したがうべからず、また求むべからず。
三界の狂人は狂せることを知らず。
四生の盲者は盲なることを識らず。
生れ生れて生の始めに暗く、
死に死に死に死んで死の終わりに冥し。
発声の、意味からの解放を、尽くして達せられなかった空海を感じました。