ゲノムが語る23の物語
- 作者: マットリドレー,Matt Ridley,中村桂子,斉藤隆央
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 単行本
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われわれと類人猿との顕微鏡下での決定的な違いは、われわれのほうが染色体が一対少ないということだ。その理由は―このあとすぐに明らかになるが―類人猿から染色体の一対が失われたのではなく、二種類の染色体がひとつに合わさったことにある。
最初に読んだ時には全く記憶に残らなかった。染色体がくっつくことで、交配が限定されるのか。個体で染色体異常が起こることはあり得るとして、それがどう遺伝し、進化に影響するのか。もしかしたら、進化は突然変異と染色体異常の絶妙のブレンドの上で起こるのかもしれない。
チンパンジーの細胞核を、核を取り除いたヒトの卵子に移し、それをヒトの子宮に着床させて、無事うまれた赤ん坊を人間の仮定で育てたとしてみよう。その子どもは成長して何になるだろうか?答えは、わざわざこの非倫理的な実験をするまでもなく明らかだ。チンパンジーになるに決まっている。
決まっていないですね。私の「ふしぎなメルモちゃん理論」に依れば、何になるかは表現型で、遺伝型とは異なる。とてもいいメタファを思いつきました。表現型は並列に実行される。遺伝子が全く同一でも起動されるスレッドのタイミングが異なれば結果は異なる。一卵性双生児が似ているのは、遺伝子が同じだからだけではなく、同じホルモン環境で成長するから。ヒトの遺伝子をトビウオの卵子に移して、その卵の中で成長させれば、トビウオになるでしょう。
私の主張は極論だと思いますが、遺伝子だけで決まるという考え方も同じぐらい極論だと思います。