NHK杯

本年度のNHK杯張栩名人の優勝で幕を閉じました。NHK杯は、いつもは秒読みを聞いていると眠たくなるのですが、途中眠たくならなかった名勝負の碁でした。
趙十段、残念でしたが、やはり素晴らしいというか、人を惹きつける変わらない魅力を感じました。対局中に見せる、後悔、奮起、集中、そして、目算を捨てた人生観。負けたときの悲しみ。もう多くのことを成し遂げた人だから、穏やかに学究に勤しんでもいいのに、今なお持ち時間の中で最善を尽くすために、不要なものはどんどん捨てようとしている。
棋聖戦第七局といい、本局といい、往年なら間違いなく寄り切っていたはずなのに。
普通、日本では感情の穏やかな人が尊敬されるものですが、あれだけ感情を素直に表に出して、多くの人から尊敬される、とても純度の高い人です。