テクノロジストの条件

テクノロジストの条件 (はじめて読むドラッカー (技術編))

テクノロジストの条件 (はじめて読むドラッカー (技術編))

高い空から低く広がる空に季節が変わってきました。ダイナミックな雲と澄んだ空を見ると、生き物に宿っている小さな自我とは別の大きな意思を感じます。
街に出た時の待ち時間に本屋に寄った時、今は亡きドラッガーさんの本が目に入り、買いました。マネージメントの大家とされていますが、結局、ドラッガーさんが追求していたのは、生産活動に関する規範ではなかったかと思います。著書の多くに、多くの成功例、失敗例が挙げられていますが、成功をたたえることも失敗を非難することも感じません。限られたリソースの中で生産活動を行う以上、そこには選択があり、その選択が成功しようと失敗しようと、その選択にはモティベーションが伴われなければならない。Gentlemenや侍、スポーツマンなど規範に基づいて行動すべきとされる人的カテゴリが存在しますが、経営者も規範を必要とすることを繰り返し主張されたと思います。
時は、知識労働者の時代に移ろうとしています。マッドサイエンティストにならなくても普通の技術者が倫理を問われるようになってきました。
話は飛びますが、大学生の時に、「アインシュタイン」の洗礼を受けたことに後悔の念を持ちました。世の中は、基本原理と思考実験でわかるほど単純ではなかった。あっという間に技術が陳腐化するIT革命の時代にあって、今、「アインシュタイン」の洗礼を受けてよかったと思います。基本原理からすべてが導き出されるわけではなくても、基本から多くの知識を演繹することができる。大学生の時に培ったこのスキルが、研究開発の対象が変わっても、なんの不安もなく学習を開始することを可能にしてくれます。
私も、もしかしたら、いつの間にか、テクノロジストの端くれになれていたのかも知れません。