観る碁のための囲碁入門23

第31譜


黒95に対して白は96から105まで。取られていた7個の白石を先手で生還させました。
白106に手を戻し、どうやら黒95から白110までのやり取りで白が追いついたようです。果たして何が起こったのか。


この碁は李世乭選手による自戦解説番組がありました。韓国語なので内容がわからないのですが^^;この辺りを詳しく検討していました。
韓国語がわかる方、碁がわかる方、是非見て内容教えて下さい!

【ニコニコ動画】2012三星火災杯 李世ドル自戦解説

終局図

この碁は306手でゲームが終わりました。結果は白の李世乭選手の0.5点勝ち。
以前に説明しましたが、囲碁は先に打つ方が有利なので、その有利さを消すためにハンデをつけます。ハンデは6.5点。つまり黒は白より7個以上多く盤上に石を置けたら勝ち、6個以下だったら負けです。0.5というのは引き分けをなくすための工夫です。ハンデの大きさをコミと呼びます。
0.5点差だったということはギリギリの点差で李世乭選手が勝った、石が1個足りなかったら結果は逆だったということです。



この図がゲームが終わった時の図です。
まだ随分スカスカして打てる場所がいっぱい空いています。対局者には、空いている場所が、交互に打てば結果が変わらない場所か、打っても相手に取られてしまう場所かわかっているのでここでゲームの終了を対局者同士で確認します。
確認したら境界をはっきりさせる手続きをします。やってみましょう。



黒1は白石をアタリにした手なので取られないためには白2と黒石を取る必要があることに注意してください。
以下黒9まで境界がはっきりしました。これで「地」を数えることができるので勝敗を確認することができます。

締まりのないエンディング

念のため、地ではなく石をたくさん置いた方が勝ちルールでの確認もしてみましょう。



黒石178個+6個の空き地=184点、白石173個+4個の空き地=177点。差は7点です。コミを加味すると黒の0.5点勝ちです。合わないですね?


ルールの説明をした時に石を多く置いた方が勝ちと説明しましたが、実は石だけでなく囲んで取られないように最後に埋めずに置く空き地も陣地として数えます。
黒石178個+6個の空き地=184点、白石173個+4個の空き地=177点。差は7点です。コミを加味すると黒の0.5点勝ちになってしまいました。

これは境界をはっきりさせるために石を置いた時に黒9と最後に黒が置いたために起こりました。「地」を数えるのと「石数と空き地」を数えるのでは境界を最後にどちらが打ったかで結果が違ってきます。


実は(実はが多くてすいません^^;)囲碁にはそういう微妙な違いで、中国ルールと呼ばれるものと日本ルールと呼ばれるものがあります。
中国ルールは「石数と空き地」を数えて勝敗を決め、日本ルールは「地」を数えて勝敗を決めます。本局は日本ルールで打たれたので、地を数えた結果(最後に置いた黒9の価値が0なので)、白の0.5点勝ちとなったのでした。


以上で、連載「観る碁のための囲碁入門」は終了です。
お付き合いいただきありがとうございました。
ハッピー囲碁観戦!