観る碁のための囲碁入門19

第23譜


白の粘りの手筋36に対して、黒も一歩も引けないので黒37と取られにいきました。この形はコウです。

第24譜


白は38とコウを取りました。黒はすぐには取り返せないルールなので、39とアタリを打ち、継いだら取り返しますよと主張します。

第25譜


白は継いだら全部取られになるという読みで、白40とこちらを取りました。黒も41と取り、左辺の白を自分の陣地にしました。白42で左下の黒は白の陣地に。黒43で右下の白が黒の陣地に。そして白は中央に備えて白44。
少し前の図からは想像できない状況です。こういうダイナミックな入れ替わりが強い人たちが打つ碁の魅力です


第9譜、黒が25と白を圧迫しようとした手から戦いが始まり、白44(144手目)でようやく一段落しました。
長かった^^;


さて、現在どちらが有利なのでしょうか?
囲碁は碁盤の上に置いた石の数を競います。なので、取り上げられる石を頭の中で取り上げて自分の石を埋めて数えることになりますが、実はもう少し簡単な方法があります。


その前にルールについてもう一度考え直しましょう。
囲碁は碁盤の上に置いた石の数を競います。差ができる理由は相手の石を盤上から取り上げることができるからです。取り上げるということには実は2つの意味があります。
一つは相手の石数を減らす、二つ目は自分の石を置くスペースを作る、です。なので石を取ると盤上の石の数は2つ違ってくることになります。
そういう目で見れば、実は囲った陣地の中の相手の石は2、空いている場所は1と数えて、双方の差を確認すれば、最終的に盤上に置ける石の数の差がわかります。この数え方、「地(じ)」を数えると言います。


早速、実戦の図を数えてみましょう。
黒は、左辺白石を取った辺りに27ぐらいの地、右下に30ぐらいの地、右上10前後ぐらいの地があります。合計67前後。
白は、左下黒石を取った辺りに38ぐらいの地、右辺と上辺はまだスカスカしていて(相手から減らす余地があって)数えるのが難しいです。えいやで両方で25ぐらいと思いましょうか。すると合計63ぐらい。
実は囲碁は最初に先に打つ黒の方が得ですから、黒は白より7つ石をたくさん置いたら勝ちというルールがあります。先に打つ得な分を相殺するルールです。
このルールを加味して、さらに次が黒の番だと考えると、この局面、黒が優勢のようです。李世乭選手に逆転のチャンスはあるのでしょうか?