観る碁のための囲碁入門1

来る3月9日から囲碁の世界トッププレーヤ李世乭とコンピュータAlphaGoとの歴史的対決が行われます。


ボードゲームでの人間とコンピュータの戦いとしては、1997年のガルリ・カスパロフIBM Deep Blueのチェス対決が最も有名でしょう。Deep Blueの前身ChipTest以来12年の歳月を費やして開発された専用コンピュータが世界チャンピオンカスパロフを破った当時、世界中に衝撃が走りました。



その後、チェスよりも複雑と言われる将棋も、2012年から始まり現在も続いている電王戦という企画を通じてプロ棋士とコンピュータが戦い、今では機械学習を使ったアルゴリズムとパソコンの性能の進歩のため、トッププロが高性能パソコンに勝つことも難しくなりつつあります。


そんな中、囲碁合法手の多さと目的が陣地を広げることという特殊なルールからコンピュータが人間に勝つのは難しいゲームと言われていました。

囲碁のコンピュータプログラムの開発は、個人や小さなチームに支えられ、少しずつ進歩を遂げていますが、つい最近もプロ棋士にまだまだ多くのハンデをもらってやっといい勝負という状況です。
が、その状況が今年に入って一変しました。
あのITの巨人Googleに属するDeepMindという会社がいきなり碁の世界チャンピオン李世乭にハンデなしの勝負を申し込んだのです。既に欧州チャンピオンを倒したという衝撃のニュースをひっさげて。
そのコンピュータAlphaGoのスペックはCPUが1202個!、GPUが176 個。個人や小さなチームでは考えられない大規模なものです。



論文も同時に発表されましたが、実際の力を推し量る材料は欧州チャンピオンとの5局の棋譜だけ。従来のコンピュータ囲碁とは規模も結果も野望も大きく差があり、一体本当のところどのくらいの実力なのか大勢の人がネット上で推測や疑問をコメントしています。

しかし、それも3月9日から始まる対決を観れば明らかになります。もしかしたらカスパロフ対Deep Blueのように今後何十年も語られる歴史的イベントになるかもしれません。YouTubeで生中継されますので、誰でもそれを「目撃」することができます。


この記事は、囲碁を知らなくてもこの対決を楽しむことができるように、囲碁入門を書いていく予定です。(反響があれば)