囲碁の国際化に関する一少考

先日行われた第18期三星杯決勝は中国の若手唐韋星三段の優勝で幕を閉じました。
今年、世界戦は中国勢が制覇、中国が韓国を凌駕した一年になりました。
若手の活躍こそ、その業界に活気をもたらすものですから、今後の更なる中国碁界の発展が期待されます。

さて、そういう状況の中で思う囲碁の課題。
それは一言で言うと、「世界戦と言いながらアジア三国ローカルじゃない?」ということです。特にその三国(中韓日)は仲がいいとはいえない状態ですので、世界戦と言いながら、国の代表が消えると大会への興味も薄れるという状況が起こっています。
サッカーワールドカップウィンブルドンなど真にグローバルな競技が全世界の注目を浴び続けるのとえらい違いです。

どうすれば世界中が注目する競技にできるのか。
それを少し考えてみたいと思います。

世界戦のブランド化および三大タイトル化

お気に入りの棋士に注目するのはファンにとって当たり前のことですが、一方で決勝まで注目される大会運営が必要です。ところが、日本だけの傾向ですが、国内タイトル戦事情で世界戦に出場できないという内向きな部分があります。
世界の碁のレベルが上がった以上国内棋戦の整理が必要なのですがそれは別項目で検討するとして、世界戦三大タイトル化を提唱します。
今の中韓日の国内戦の持ち時間は、中国が世界戦と同じぐらい(3時間)、韓国が早碁、日本は長い碁(5時間以上)が主流です。なので、まず持ち時間による階級制度を導入し、これに合わせて、

  • 韓国主催の「早碁」棋戦
  • 中国主催の3時間の「中碁」棋戦
  • 日本主催の5時間以上の「長碁」棋戦

の三大タイトルに世界戦を絞ります。世界戦を3つに絞り、持ち時間で「階級」を明確にすれば、誰がタイトル何個獲ったかではなく、各階級で誰が一番強いのかに注目が集まります。メジャーな世界戦が3つに絞られれば、各国のチャンピオンも日程的に出場しやすくなるでしょう。

大会形式は、集まって2週間程度の短期集中型がいいでのしょうね。長い碁に限ってはリーグ戦で1年かけて戦うという方法もありかもしれません。

段位制の廃止とレーティング制への移行

段位というのはすべて引退後または60歳以降に名乗る名誉称号にします。
トーナメントプロは段位は持たず、レーティングによる各階級のランキングで表現します。
世界戦予選も国内棋戦も持ち時間に応じて早碁、中碁、長碁のいずれかの階級に属し、その勝敗が各階級のレーティングに反映されるようにします。

ルールの統一

国際化のためには中国ルールへの流れが必然かと思います。
日本ルールは普段は効率的ですが、特殊な形の事例ルールが多く味が悪い。
中国ルールでは偶数半のコミが設定できない課題がありますが、コミに関して結論が出せるほど人は碁を理解していないのだから、ならばゲームの駆け引きの材料にすればいいと思います。なので、自由コミ制。ニギリで勝った方がコミを指定し、相手が黒白を選択する。
食事休憩はなし。必要な食事は持ち時間内で摂る。休憩が入ると味が悪いから。

ゲームの見える化

コンピュータの時代です。勝率レーティング、過去の棋譜、小ヨセの結論などコンピュータが既に人間を凌駕している領域が囲碁にもあるのですからそれを最大限活用して、ルールと石の強弱がわかる程度になれば見て楽しめるものにする必要があります。
ほとんどのスポーツは得失点という表現でライブで形勢がわかるようになっています。だから初めての人でも楽しめる。ドラマがわかる。終盤の本来答えが出ているはずの場面で、解説者の曖昧な目算(失礼)に頼っていては見えるはずのドラマが見えなくなる。見える化が必要です。
最近の例では、将棋の竜王戦第3局、終盤まで互角の熱戦が最後森内名人の失着で即詰みになった場面、将棋ソフトPonanzaがノータイムでゲームの実質的な終了を告げ、その後、渡辺竜王(当時)が席を立ち、戻ってきてから仕留めたという一局がありました。劇的でした。


あまり色々書くと発散するので今日はこの辺りで。