HTML5は課金システムを必要としない人たちのためのもの?

自分のプラットフォームを何にするかあれこれ想っていたところ、成井英樹さんの翻訳記事「Financial TimesはなぜHTML5を選択したのか、自らTechnical Q&Aとして公開している。」が刺激になりました。

新しいコンテンツや機能にユーザーは直ちに触れることができる。App Storeなどを通るプロセスがなく、常にユーザーは最新のバージョンを見ることができる

この一文の本質は何か、考えました。

  • ユーザーはプロバイダがコンテンツや機能を変える前にどれだけ時間がかかったかは普通は気にしない。
  • でもApp Storeのようにソーシャルな機能があると、ユーザーのコメントに対するレスポンス速度は重要になる。

確かに、課金含めてユーザーから信用のある企業にとって、他社の審査を受けなければいけないことはマイナス面が多そうです。どの企業もウェブサイト刷新するのに、他社に審査を受けたいとは思わない。

HTML5は単なるWebサイトだ、ブラウザーでアクセスするだけである。専用アプリケーションはAppStoreやAndroid Marketなどからダウンロードしてインストールする必要がある。

無料で比較すれば、潜在ユーザーに届く確率はHTML5の方がかなり高そうです。でも、有料で課金を伴う仕組みにしようとすると、逆転しそう。

複数の異なった端末に対して専用のアプリを開発するのは、物理的にも経済的も管理できない

App StoreAndroid Marketのアプリって、普通何種類の端末でテストされているのでしょうね。特にAndroid Marketの成熟度はWindowsで例えたらどこまで進んでいるのか誰か教えてください。

HTML5コンテンツの開発は通常のWebサイトの開発の延長線上にあり、Webサイトの開発と同じツールやテクニックが用いられるが、テストすべき端末の数がはるかに多い。つまりFTは専用アプリに比べてより素早くテストして登録することができた。Webアプリの開発ははるかに早く効率的で、新しい機能に対する反応も素早く得ることができた

で、同じ疑問ですが、HTML5コンテンツは、何種類の端末、ブラウザでテストされるのでしょうね。FTの表現では、かなり多そう。ここではポジティブな表現を取っていますが、後半、以下のように開発に苦労したことを吐露されています。

...自分たちのシステムやプロセスをアプリケーションが効率よく動くことを確認するためにそうしたものを開発する必要があった
...端末間の違いやWebkitのバージョンの違いがわれわれのチャレンジを当惑させた

読み終わってなんだか不思議な気持ちになりました。Javaの黎明期を思い出します。1つのコードをマルチプラットフォームで動かそうとして色々苦労する時代がありました。思ったことができないからネイティブのプラグインが生まれ、フラッシュなどHTMLとは独立したフォーマットが生まれました。プラットフォームがPCからスマートフォンに移行した際に独自フォーマットがふるい落とされ、アプリに戻り、そしてまたHTML5+CSS+JavaScriptというややこしい名前でマルチプラットフォームをしようとしている。


結論というか飛躍になりますが、HTML5普及のカギは少量課金代行システムのデファクトスタンダードが生まれるか否かだと思います。
もしも生まれたら、今のApp Store, Android Marketはソーシャルマーケットとでも呼ばれるようなプラットフォーム依存のないサービスに移っていくでしょうね。
もしも生まれなかったら、HTML5Javaやフラッシュのように多少サイトを華やかにして、ちょっとだけJavaScriptフリーランスプログラマの雇用を生んで、後は購読/広告以外の新しいビジネスモデルを産み出す人を待つ状態が続くような気がします。


さて、HTML5かアプリか。それが問題だ。