右脳、左脳

右脳、左脳の機能局在論に懐疑的だった私が、Taylorさんの"My stroke of insight" を繰り返し見続けて、信者になりかけていました。特にプレゼンの冒頭で脳のプラトミック?標本を見せて、左右がはっきり分かれていることを見せつけられたのが大きかった。
ところが、昨日何かのバラエティ番組を見ていて、歯の治療の時の局部麻酔の感覚の話を聞いて、素に戻りました。
局部麻酔を受けると、その付近だけ体の境界の感覚がなくなり、広がって感じます。腫れた感じ。Taylorさんが右腕の境界がわからなくなってただエネルギーを感じたというのは、このことではないかと思いました。だとすると、右脳、左脳の議論とは別になる。左脳が機能停止したから世界との一体感を味わったわけではなくて、抹消神経系からの入力が少なくなって一体感を感じたのではないか。
涅槃という言葉を使って、安心感、多幸感を表現されていましたが、多幸感だったとしたら、左脳を停止させなくても、起こります。生まれて初めて正体不明になるまで泥酔した時、多幸感を味わったのですが、その時私はご機嫌でわけのわからないこと話していたとのことでした。曲がりなりにも左脳の言語野は動いていた。
この手(この手の定義が難しいですが)の研究をするなら、局在論(ミラーニューロンとかおばあちゃん細胞とか)よりは、脳の分泌系を調べたほうが正しい道と感じます。
もちろん、右脳、左脳の議論は別にして、他者と自我を識別することで成立する自分の存在と、世界の一部としての自分の存在とどちらに時間を割くべきかという問いに対しては、両手を上げてTaylorさんに賛成します。