電気回路の双対性

科学なのか技術なのか数学なのかわかりませんが、電気回路における双対性の話です。
容量Cを持つキャパシタは以下の法則に従います。
Q=CV
ここでQは電極に蓄えられる電荷、Vは端子にかかる電圧です。電流を使って書くと、この法則は以下のように表現できます。
I=C\frac{dV}{dt}
一方、インダクタンスLを持つコイルは以下の法則に従います。
V=L\frac{dI}{dt}
キャパシタとコイルは、VとIを入れ替えた法則に従っていることがわかります。
抵抗値Rを持つ抵抗は以下の法則に従います。
V=RI
従って、VとIを入れ替えたとき、抵抗は\frac{1}{R}の抵抗に置き換えれば、同じオームの法則に従うことになります。
次に素子から回路に進みます。
LとCを並列につないだ回路は、素子には同じ電圧がかかり、それぞれ電流を流します。LC双対な回路、すなわちVとIを入れ替えた回路を考えると、その回路は、素子に同じ電流が流れてそれぞれの電圧がかかることになります。LとCを直列につなぐとちょうどそのような回路になります。
インピーダンスで確認しておきましょう。
LとCを並列につないだ回路のインピーダンスは、
\frac{1}{Z_{parallel}}=\frac{1}{i\omega L}+i\omega C
LとCを直列につないだ回路のインピーダンスは、
Z_{series}=i\omega L+\frac{1}{i\omega C}
VとIを入れ替えるということは、インピーダンスの逆数を新たなインピーダンスとすることですから、VとIを入れ替えて、LとCを入れ替えて、並列と直列を入れ替えると、また電気回路の法則を満たすことがわかります。
抵抗を入れても話は同じです。
従って、L,C,Rからなる任意の回路から、L\Leftrightarrow C, R\Leftrightarrow \frac{1}{R}と係数を置き換えて、直列を並列に、並列を直列に変えると、できた新しい回路は元の回路のVとIを入れ替えたような振る舞いをする回路になります。
さて、この双対性をどう使うかは次回のお楽しみ。
追記:Y-Δ変換で任意の回路が直並列回路に変換できるのか?こんなこともわかっていなかったとは…とほほ。