大動脈弁閉鎖不全症の早期発見法

あとでもめることになる可能性もありますが、せっかく思いついた仮説を闇に葬り去るのももったいないので、メモを残しておきます。
心臓には4つの弁があるのですが、これらの弁に機能上の支障があると体にも当然悪い影響が出ます。国内推定患者数200万人。年間1万人の人が手術を必要としている。
http://blog.nikkansports.com/life/health/archives/2006/01/post_171.html
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/cvs/subroutine/Nikkei_article.htm

大動脈弁閉鎖不全症は症状が出るのが遅く、症状が出たときにはかなり進んでいることが多い。左心室が肥大して心不全を起こします。突然死するケースもあります。

従って、症状が出る前に発見する必要があるのですが、その検査はエコーを使うもので健康診断でも行われません。
ここからが、私の仮説ですが、

  • 大動脈弁は閉鎖することによって、最低血圧を保持する。
  • 従って、大動脈弁が閉鎖しない場合には、最低血圧が一定に保持できない。

閉鎖せずに心臓への逆流を伴う血流が存在しますから、その時の血圧はかなり不安定になるはずです。
そこで、もし最低血圧を連続的に計測する方法があれば、そのばらつきによって大動脈弁が閉鎖しているかどうか判断できるはず。さらに言えば、かならずしも連続的に計測しなくても、毎日家庭用血圧計で血圧を測定していても、その最低血圧がばらつくのであれば、それは大動脈弁不全症のスクリーニングテストになるはずです。
家庭用血圧計は、その測定速度からわかる通り、ほとんど1拍で最高/最低血圧を決定しており(オシロメトリはともかくコロトコフ音によるものならばなおさらです)従って、最低血圧は平均化されたものではないのでばらつきが見えてくる。
毎日血圧を測るだけで、症状の出にくい大動脈弁不全症の検査ができる。画期的ではありませんか。
ばらつきをどう判断するかについては、詳細な研究が必要ですが、私の研究では、最高血圧平均血圧、脈圧などほかの血圧との相関を計算すると見やすい。ばらつくというよりはほかの血圧との負の相関が大きくなります(変動が最高血圧に依存する)。健康な人は最低血圧は他の血圧とほとんど相関を持ちません。
研究者面して書きましたが、血圧の長期データを見て、異常の見えた被験者さんについてお医者さんに問い合わせたところ、「いたって健康。最低血圧の測定は誤差が大きいから」とのことでした。
女性だったりすると、脂肪の分だけ脈も取りにくいから確かに最低血圧の誤差は大きくなるでしょうね。
精度の高い血圧連続計測データを、患者および健常者で比較できたら、結論が出るのです。
これも、私がこれまでの人生で何度も見て来た単なる錯覚かもしれません。
でも、もしこの仮説が正しくて、将来血圧計の精度が上がって来たら、大勢の人の大動脈弁不全症を早期発見できる世の中にできるかもしれないのです。